冬の八ヶ岳稜線をのぞく・3
翌朝未明に小屋の外に出てみると、温度計はマイナス23℃、そして星ってこんなにたくさんあるのかと思うほどの澄み切った快晴。内心快哉を叫んで、午前7時前、団体客を後にさっさと小屋を出ました。
昨日は見えなかった東天狗のピークが間近に見えます。
中山峠上 2018/2/18
昨日同じ場所で写真を撮りました(前々回の3枚目です)。この日も秒速20メートル近いと思われる台風のような強風が吹いていて、重心を崩されないように気をつけながら進みます。
中山峠上 2018/2/18
樹林帯が完全に途切れて急坂が始まる前で小休止。隣の5人パーティはアンザイレン(全員をザイルで結びあうこと)の作業をしていますが、単独行の椿の茶屋にザイルで確保する相手はおりません。他パーティのガイドらしき人が気にしてくれて、「ここから先には休憩する場所はもうありませんから、気をつけて」と声をかけてくれました。
東天狗岳 2018/2/18
そこからは急坂と岩場が交互に現れました。ルートのとり方や足の置き方を考えながら、一歩ずつ踏みしめピッケルを刺して進みます。そして・・・山頂が見えてきました。
東天狗岳 2018/2/18
続きます。
昨日は見えなかった東天狗のピークが間近に見えます。
中山峠上 2018/2/18
昨日同じ場所で写真を撮りました(前々回の3枚目です)。この日も秒速20メートル近いと思われる台風のような強風が吹いていて、重心を崩されないように気をつけながら進みます。
中山峠上 2018/2/18
樹林帯が完全に途切れて急坂が始まる前で小休止。隣の5人パーティはアンザイレン(全員をザイルで結びあうこと)の作業をしていますが、単独行の椿の茶屋にザイルで確保する相手はおりません。他パーティのガイドらしき人が気にしてくれて、「ここから先には休憩する場所はもうありませんから、気をつけて」と声をかけてくれました。
東天狗岳 2018/2/18
そこからは急坂と岩場が交互に現れました。ルートのとり方や足の置き方を考えながら、一歩ずつ踏みしめピッケルを刺して進みます。そして・・・山頂が見えてきました。
東天狗岳 2018/2/18
続きます。
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冬の八ヶ岳稜線をのぞく・2
カレンダーを見れば今日は3月10日。祖母がだいぶ前に話してくれたことによると、73年前のこの日、相模原駐屯地の職業軍人だった祖父は急きょ兵隊を引き連れて出かけ、一週間以上経った頃に帰ってきて、そのことについて生涯ほぼ完全に口を閉ざしたそうです。東京大空襲の後片付けをしていて、人には言えないつらい思いをしたようです。今日の日付を見るたびに、優しかった祖父の顔とともにその一件を思い出すのですが、しかしニューヨークに駐在していたときアメリカ人と話をしてみると、10万人近い東京市民が逃げる場もなく焼き殺されたなんて彼らはほとんど知らないのです。被害の記憶は痛みとして長く残り、加害の記憶は都合よく忘れ去られる。まあ日本人もそうなのですけど。
・ ・ ・ ・ ・
さて、山小屋から稜線に向かって15分ばかり歩きました。気温はマイナス10℃くらい。ごうごうと強風が吹き荒れています。目出し帽をかぶりゴーグルをつけ、あおられそうになる身体をピッケルで支えながら安全そうなところを1時間ばかり散歩しました。
天狗岳を遠望、ガスが薄らいだ一瞬。上部は流れる雲の中。
中山峠上 2018/2/17
こんな天気ですが単独で登っているおじさん(下の画面左下)。この人とは別に、軽装で稜線に出かけ、低体温症のようになって戻ってきてストーブの前で小屋番に介抱されているおじさんもいました。
中山峠上 2018/2/17
風は写真に写らないので伝わるかどうか(笑)トレースは風に吹かれて不鮮明となりやがて消えてゆきます。
中山峠上 2018/2/17
中山峠上 2018/2/17
こんな天気ではあるのですが、明日日曜日の好天をあて込んだ登山客で、小さな山小屋は大入り超満員、広間に居場所はありません。寝室の布団は3人に2枚で、椿の茶屋はその真ん中。隣のお兄さんに毛布を引っ張るなと食ってかかられ・・・さっきは言い過ぎたと後で謝りに来られましたが・・・戦争だけでなく山小屋にあっても、人は被害には敏感、加害には鈍感であります。やはりそれぞれ自分がかわいいというのは、どうしようもない人の本性なのかもしれません。両隣に気をつかい、すり減った心を抱きかかえるようにして寒い布団の中で横になっていると、こんどは仕事上の心配事が頭の中にドンドコと浮かんできて、結局一睡もできませんでした。もう、二度と来るもんか(笑)
続きます。
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さて、山小屋から稜線に向かって15分ばかり歩きました。気温はマイナス10℃くらい。ごうごうと強風が吹き荒れています。目出し帽をかぶりゴーグルをつけ、あおられそうになる身体をピッケルで支えながら安全そうなところを1時間ばかり散歩しました。
天狗岳を遠望、ガスが薄らいだ一瞬。上部は流れる雲の中。
中山峠上 2018/2/17
こんな天気ですが単独で登っているおじさん(下の画面左下)。この人とは別に、軽装で稜線に出かけ、低体温症のようになって戻ってきてストーブの前で小屋番に介抱されているおじさんもいました。
中山峠上 2018/2/17
風は写真に写らないので伝わるかどうか(笑)トレースは風に吹かれて不鮮明となりやがて消えてゆきます。
中山峠上 2018/2/17
中山峠上 2018/2/17
こんな天気ではあるのですが、明日日曜日の好天をあて込んだ登山客で、小さな山小屋は大入り超満員、広間に居場所はありません。寝室の布団は3人に2枚で、椿の茶屋はその真ん中。隣のお兄さんに毛布を引っ張るなと食ってかかられ・・・さっきは言い過ぎたと後で謝りに来られましたが・・・戦争だけでなく山小屋にあっても、人は被害には敏感、加害には鈍感であります。やはりそれぞれ自分がかわいいというのは、どうしようもない人の本性なのかもしれません。両隣に気をつかい、すり減った心を抱きかかえるようにして寒い布団の中で横になっていると、こんどは仕事上の心配事が頭の中にドンドコと浮かんできて、結局一睡もできませんでした。もう、二度と来るもんか(笑)
続きます。