蝶の翅という小宇宙

最近、「蝶の生活」(岩波文庫)という本を読んでいます。フリードリヒ・シュナック(1888~1977)という、現在ではあまり知られることのないドイツの作家による1928年の随筆集です。ドイツの作家でチョウ好きといえばヘルマン・ヘッセが有名ですが、シュナックというのは名前を知ってはいたもののつい最近まで読もうと思うこともありませんでした。

この本、日本語が実にすいすいと頭の中に入ってきます。翻訳が優れている証拠です。また専門用語も正確に訳されているように見えます。それで調べたら、翻訳者はドイツ文学の教授にして昆虫の専門家でもある人だったのでした。腑に落ちました。少し引用させていただきます。

青味を帯びた弦月紋で身を飾った蝶がたくさんいるが、その原型は楽園から落ちてきたのだろうか? また翅膜に赤い色の斑点や、環や、斑紋をもっている蝶もいるが、それは、花々のたそがれがやってきて、この地上からすべての赤い花が消えてしまった灰色の春と夏とを永遠に刻印しているのであろうか? 花々もまた多くの苦難に遭ったのだから。氷の光に彩られた蝶もいるが、それは氷河の流れが反映したものにちがいない・・・・・・
(フリードリヒ・シュナック著 岡田朝雄訳「蝶の生活」(岩波文庫)より)


チョウ好きにとってチョウの翅に描かれた色とりどりの模様は、小さな宇宙そのものだ・・・と思います。それぞれが勝手に夢想をめぐらすことのできる楽しい空間です。


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トラフアゲハ ニューヨーク植物園 2014/5/15
Nikon1 V2 ・ 1Nikkor VR 10-100mm f4-5.6
89mm(35mm判換算239mm)
パターン測光(補正-0.7)1/640sec f5.6 ISO400



ニューヨーク在住の二年間であまりたくさんのチョウに出会うことができなかったのは心残りです。現地のチョウ好きと仲良くなって教えを乞えば、より多くの感動に胸を震わせることができたのでしょうが。


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2015-03-07 : NEW YORK CAFÉ - アメリカ・昆虫 : コメント : 4 :

チョウと紅葉

温室の菊を眺めて歩いた先週の日曜日は、日中気温が上がりました。朝夕冷えるようになってきたので正直チョウはもう無理だと思っていたのですけど・・・

いましたー(^^)  Monarch(モナーク)、和名オオカバマダラ。この子1頭だけで、花から花へと吸蜜をしておりました。


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オオカバマダラ(オス) ニューヨーク植物園 2014/10/12


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オオカバマダラ(オス) ニューヨーク植物園 2014/10/12


でもいよいよこれが今年最後でしょうかねえ。木々の葉が、一部のカエデのような早いものから赤く色づき始めています。


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ニューヨーク植物園 2014/10/12


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ニューヨーク植物園 2014/10/12


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ニューヨーク植物園 2014/10/12


紅葉はこれから11月上~中旬くらいまで。長い冬が来る前の、ひとときの華やぎです。


2014-10-18 : NEW YORK CAFÉ - アメリカ・昆虫 : コメント : 8 :

今年のニューヨークのチョウ

暑中お見舞い申し上げます。

日本方面から、暑いーーーーとの声が毎日のように伝わってきます。中部山岳もいよいよ夏山本番と聞いて、休みを取れないもどかしさがつのります(笑)

いっぽう、今年のニューヨークの夏はしっかりと冷夏です。一日の最低気温は10℃台か高くても20℃そこらで、最高気温が30℃をほとんど超えず、家で冷房を使うこともあまりありません。日本の冷夏のように雨が降り続くってことはありませんが・・・その冷夏のせいか、はたまた昨年の冬が寒すぎたせいなのか定かではありませんけど、今年はチョウが少ないように感じます。

北米は一年のうち今が最も暑い季節で、8月に入れば秋の風が吹き始めますから、えっ・・・もうこれでおしまいなのぉーーー! と、心の中で悲鳴を上げています(-_-)

そして朝の植物園。花壇の前のベンチに陣取って、いささか涼しい風に吹かれながら朝ごはんのサンドイッチをほおばり、チョウが出てくるのを待ちます。でも毎回顔を見せてくれる大型のチョウはこの子くらい。


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トラフアゲハ ニューヨーク植物園 2014/7/6


アカタテハはさすがに、ほぼ空振りなし(笑)よく見ると、翅裏の模様が日本のものとはちょっと違います。


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アカタテハ ニューヨーク植物園 2014/7/6


バージニアヒメアカタテハ。アカタテハの親類です。


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バージニアヒメアカタテハ ニューヨーク植物園 2014/7/20


翅裏がなかなかきれいなチョウです(下は5月に撮ったもの。あ、顔が隠れちゃってます ^^;)。ただあまり数を見かけず、なかなかいい画を撮らせてくれない気難しい子。


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バージニアヒメアカタテハ ニューヨーク植物園 2014/5/15


こんなわけで収穫がいまいち伸びていません。さあ、このままニューヨークは初秋に突入してしまうのでしょうか(笑)


2014-07-27 : NEW YORK CAFÉ - アメリカ・昆虫 : コメント : 8 :

春来りて・2・キベリタテハ

最高気温が15℃くらいまで上がるようになりました。快晴無風の今日、日本でいえばギフチョウがいかにも飛びそうな天候。もちろんニューヨークにギフチョウはおりませんが(笑)雑木林へ行けばきっとチョウの一頭や二頭飛んでいるのではないか!?と連想をはたらかせて、いざ。

・・・いましたよ、越冬明けのタテハチョウ!今年ニューヨークでのチョウの初見です。

雑木林の中の手すりにべたっと張り付いて暖をとっています。キベリタテハです。あの厳しい冬の寒さを乗り切ったのですね。


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キベリタテハ ニューヨーク植物園 2014/4/6


日本の関東近辺でいえば山梨や長野の高冷地で見られるチョウですが、これが都市近郊に生息しているのは気候の寒い北米ならでは。


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キベリタテハ ニューヨーク植物園 2014/4/6


濃い紅茶色のビロードのような翅の中心部、それを取り巻く薄い黄色の縁取りと、宝石のように規則的にちりばめられた淡い青紫色の斑点。いつ見ても、きれいだなあ、と(^^)


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キベリタテハ ニューヨーク植物園 2014/4/6


このチョウ、アメリカ英語ではMourning Cloakと呼ばれます。直訳すると「喪服のマント」。ドイツ語のTrauermantelもやはり「喪服のマント」で同じ。いっぽうイギリス英語ではCamberwell Beauty「キャンバーウェルの美人」という麗しい名前が付いています。このチョウの特徴をそれぞれ詩的に言い表した、いい呼び名だなあと思います。


2014-04-07 : NEW YORK CAFÉ - アメリカ・昆虫 : コメント : 4 :

真冬のチョウたち

ネタが切れたー!と思ったところへ救いの主が現れました(^^)/

アメリカの博物館には、小さいながらもチョウ温室のあるところがあります。セントラルパークの西側にあるアメリカ自然史博物館も、そのひとつです。博物館入館時に少し上乗せ料金を払うと、時間予約制で温室へ入れてくれます。

ナガサキアゲハのメスです。日本でみられるものとは翅の模様や腹部の色が異なります。


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アメリカ自然史博物館 2014/1/26


横長の翅をもった同じような形のチョウが多数。でも翅の色はさまざま。カラフルです。


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アメリカ自然史博物館 2014/1/26


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アメリカ自然史博物館 2014/1/26


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アメリカ自然史博物館 2014/1/26


屋内で薄暗いものですから、翅を動かしている姿を写し止めることはできませんでした。が、まあそんなのはどうでもよくて、チョウの姿を見られただけで満足です(笑)。夢見心地のひとときを過ごしました。


2014-02-02 : NEW YORK CAFÉ - アメリカ・昆虫 : コメント : 6 :
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Author:椿の茶屋
そうなったら、瞬間に向かってこう呼びかけてもよかろう。留まれ、お前はいかにも美しいと。

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